【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第23章 My Love Blooms for You
ヒラ・・・
ヒラ・・・ヒラ・・・・・・
白雪のように舞い散る、桜の花弁。
ふと静けさが辺りを包み込む。
それまで潜んでいた無力感が顔を出し、リヴァイはいつの間にか深い眠りに落ちていた。
怖い夢を見ているのだろうか。
細い眉を曇らせ、ときおり瞼が小さく震えている。
でも彼はひとたびその目を開ければ、心の中にどんな悲しみや恐怖を抱えていようとも、それをおくびにも出さず、自由の翼を広げて人類の最前線に立たなければならない。
リヴァイ・アッカーマン。
人類最強であるが故に、たくさんのものを犠牲にしてきた彼は、ただただ強くて美しい。
ヒラ・・・
ヒラ・・・ヒラ・・・・・・
だが彼の心にある恐怖を知った桜は、その頭上に柔らかな花弁を落としていく。
彼が臆さなければならないほどの脅威から、
彼が涙を流さなければならないほどの絶望から、
守ってあげられるほどの力は、桜にはない。
ただ咲いては散ってを何度も繰り返しながら、花は世界を優しく見守るようにここで生きているだけなのだから。
それでも花弁舞う桜色の霧雨は、彼方からの想いを彼に伝える。