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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第23章  My Love Blooms for You




「俺は・・・時々思うことがある」

背中を桜の木に預け、左脚は伸ばしたまま、立てた右膝の上に肘を置く。
袖口から見える手首には、今では主流となっている対人用立体機動装置の痣が深く残っていた。


「───お前が死んでいて良かった」


それは今までに何度も思い、しかし言葉にする前にかき消してきたこと。


「そう思った直後に、そんな自分に対して吐き気がするんだけどな」


リヴァイは右手首の痣が空から見えるように腕をかざし、自嘲気味に溜息を吐いた。


「お前は立体機動装置に対人用があるなんて想像もしていなかったろ。俺達の敵は今、巨人じゃなくて人間だ」


お前に、今の状況は耐えられなかっただろう。


「お前が倒した巨人も、実は人間だったと知ったら・・・お前は苦しんだだろうな」


誰かを殺すくらいなら、自らの死を選ぶような女だからな、お前は。


“じゃあ・・・何か? 俺が必死こいて削ぎまくってた肉は実は人の肉の一部で、俺は今まで人を殺して飛び回ってた・・・ってのか?”


この事実を知ってから、サクラはそれを知る前に死んで良かったと思うようになった。

人が人を殺す光景を見たらお前は、俺がどんなに引き留めようともぶつかり合う刃の間に立って争いを止めようとしただろう。

どうせ死ぬ運命にあるなら、そんな地獄を見る前で良かった・・・


「それとエルヴィンも死んだ・・・奴ではない人間を助けることに決めたのは俺だ」


サクラ、お前を助けにいかないという選択をした時のように。
俺とハンジが遺志を引き継いだから、エルヴィンもきっと納得してくれているだろう。

「そうだ、お前の親友のロゼの事は心配しなくていい。エルヴィンの代わりにできることがあればやっていこうと思う。エルヴィンとお前を死なせた俺の償いでもあるしな・・・」


ロゼも最後は“自由の翼”を背負ったと聞いたら、お前は驚くだろうな。
もっとも、この紋章を背負う人間は手で数えられちまうほどになってしまったが。




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