【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第5章 Eye of the Silver Wolf
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
どのくらい奥へ来ただろうか。
木々の間から月の光が差し込む先に、片膝をついて地面を見つめている男の姿があった。
間違いない・・・あれは・・・
「リヴァイ兵長」
「・・・・・・・・・」
リヴァイは顔を上げると、サクラを見て眩しそうに顔をしかめた。
背後から差す月明かりに目が眩んだのだろうか。
「何を・・・なさっているのですか?」
「墓を作ってる」
見ると、右手で土を掘り起こしている。
潔癖な性格のリヴァイなら、普段は絶対に嫌がるような作業だ。
「・・・私にも手伝わせてください」
横に座り、同じように爪を土にたてる。
リヴァイは何も言わず、サクラを受け入れた。
二人で15分ほど掘っただろうか、直径30センチ深さ10センチの穴が出来上がる。
するとリヴァイは懐から先ほどの兵士の腕章を取り出した。
「アイツは壁の外に埋葬して欲しいと言っていた」
“自由の翼”の紋章に触れながら呟く。
その瞳がかすかに揺れていた。
「とはいえ、持ち帰ることができる死体はそうするのがルールだ。だから・・・俺がしてやれるのは、アイツの魂だけでも望んだ場所で眠らせてやること」
・・・アイツは壁の中をクソほどに嫌っていたからな。
腕章を埋め終わると、リヴァイは土で汚れた手をじっと見つめた。
月が照らすその姿はなんと儚いのだろう。
悲しみも、怒りも表に出さず・・・
部下の願いを叶えてあげるのか。