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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第23章  My Love Blooms for You




“俺はお前に出会ってから、この世界がただ汚いだけじゃねぇ、臭いだけじゃねぇってことを知った”

どこまでも広がる田園風景は、人間が生きていることの証。
夕月で陰影しか見えないが、真っ直ぐと伸びた膝丈ほどの花が一面に咲いている。


“ゼラニウム、ラベンダー、桜、お前が教えてくれたものは全部綺麗だと思った。今だってそうだ”

彼女と見上げる夜空はとても綺麗だと思った。
朝になれば再び巨人に支配されようと、彼女が生きるこの世界を守りたいと思った。

でも、この世界のどこを探してももう彼女はいない。


「・・・・・・・・・・・・」


馬の吐く息が荒くなってきた。
それは、緩やかだった傾斜がだんだんと険しくなってきている証拠だ。


「そういえば、前もこの辺から歩いたな」


“気を抜くなよ。立体機動を使えるといっても、いつ巨人が飛び出してくるかわからん”

あの時、緊張した面持ちで頷いていた彼女のすぐ背後の木には巨人が潜んでいた。
今思えば、本当に無茶なことをしたものだ。

リヴァイが馬から降りて自嘲気味に溜息を吐いた、その時だった。

「あのぅ・・・兵士さん」

突然の声に振り向くと、そこにはランプを持って立っている一人の娘。
こんな時間に山へ向かおうとしている男を不審に思っているのか、眉間にシワを寄せながらこちらを見ている。

「まさか今から山に入るんですか?」
「・・・ああ、そのつもりだが」

見たところ20代前半のその女は、山守の家の者だろう。
編み込んだ長い髪を後ろで一つにまとめ、今しがたまで家事をしていたのか手が灰で汚れている。

「やめた方がいいですよ。今からじゃ足元が見えないし、危険な動物や人間もいます」
「心配するな。もっと“危険”だった頃にもこの山に入ってる」

巨人に比べたら山の獣など可愛いもの。
山賊ならばなおのこと、リヴァイの敵ではない。

話しかけている男が人類最強の兵士とは知らない女は、さらに不審そうに自分とさほど身長の変わらないリヴァイを見た。




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