【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第23章 My Love Blooms for You
「この花壇だってそうですよね。世話をする兵士が死んだから、こうやって死んでいくしかない」
死は死を、悲劇は悲劇を呼ぶ。
ならばどこかでその連鎖を断ち切らなければならないだろう。
「だからオレは残された時間の限り前に進み続ける」
“進撃の巨人”として、その使命をまっとうするために。
「それがオレの“選択”です」
ハンジとエレンの間に、静かな風が吹いた。
それは温かくもあり、冷たくもあり。
まるで優しい人が流す涙のようだ、とハンジは思った。
「エレン・・・君の思う通りにすればいい。私は君の選択を信じるよ」
ハンジは春の夕日に赤く染まった部下を見て微笑んだ。
「でも・・・ちょっと思ってしまうな。君がもしあの子と出会っていたら、今と同じ言葉を言ったのだろうかと」
誰も憎まず、ただ世界を愛していた人。
破壊も已む無しと考えるエレンを、彼女はただ抱きしめただろう。
心臓を通して命の鼓動を伝え、
涙を流して命の温かさを伝えるために。
「ハンジさんが言う、その兵士って───」
───サクラのことですか?
そう聞きかけて、エレンは口をつぐんだ。
ダメだ、今の自分が口にしていい名前ではない。
サクラが生きていたら・・・きっと悲しい目で自分のことを見ただろう。
敵を駆逐するためには、平和な人々の暮らしに破壊を持ち込む事だって辞さない化け物を・・・