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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第23章  My Love Blooms for You









リヴァイを見送ったあと、ハンジの思い出の場所だという兵舎の中庭へやってきた二人。

太陽はいつの間にか西の空へ傾き、花壇の枯草に赤い光が落ち始めていた。

日が完全に落ちるまでここにいるつもりなのだろうか。
流石にそこまでは付き合えないぞとエレンが心配になり始めていると、ハンジはベンチから立ち上がって大きく背伸びをする。

「うーん、随分と長居をしてしまった。もう十分!」
「ハンジさん?」
「久しぶりに“あの子”と話ができたような気がするよ」

そう言ったハンジには心なしか、以前のような無邪気さが伺えた。
エルヴィンの死後、人類の命運を懸けた選択を委ねられるほどの兵士となったハンジだが、もともとは明るく、無鉄砲な性格だ。
昔は後先を考えず、巨人への強い興味だけで突っ走ってしまうことも多かったが、今はもうその無鉄砲さを止めてくれる人間は少ない。

それが分かっているのだろうか。
ハンジは力なく笑うと、エレンを真っ直ぐと見た。

「この花壇はね、私が知る中で最も優しい調査兵が手入れをしていた場所なんだ」

「・・・・・・その人は?」

「死んだよ」

答えを聞く前から、この荒れた花壇を見れば分かっていた。
水を与えてくれる人間がいなくなった花達は、その人の後を追うように干からびて死んでしまっているのだから。

「時々、思うよ。彼女が死ななければならなかったこの世界が救われる日は果たして来るのだろうか、と」

死は連鎖していくばかり。
エルヴィン、ミケ、モブリット・・・
エレンやアルミンだってハンジの年齢までは生きられない。

「これまで犠牲にしてきたのはあの子の命だけじゃない。私達の歩んできた道には死体だらけだ」

それは調査兵団を率いる人間の宿命なのか。

ハンジの足元にはたくさんの屍、頭上には亡き戦友達の魂。
だがエルヴィンに引導を渡されたのだから、もう後戻りは許されない。





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