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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第23章  My Love Blooms for You











トロスト区襲撃から1年。

あの日巨人の姿となって巨大な岩を持ち上げウォール・ローゼの穴を塞いだ兵士は今、荒れた花壇の前に立っていた。

いつから切っていないのか顎まで伸びた前髪の隙間から、枯れた草の間に転がる虫の死骸を見つめる緑色の瞳。
彼が最後に笑ったのはいつだろう。
そう疑問を抱いてしまうほど深い悲しみと憎しみに支配されたその瞳が、ゆっくりと虫の死骸から花壇の正面に置かれたベンチの方に向けられる。

そこに座っているのは、眼帯の兵士だった。

「ハンジさん」

沈黙を破るように、エレンが口を開く。


「───リヴァイ兵長は・・・大丈夫でしょうか」


するとそれまで背中を丸めるようにしながらベンチに座っていたハンジが、少しだけ顔を上げ痩せた頬に笑みを浮かべた。

「君は意外にも心配症なんだね、エレン」
「・・・そんなんじゃないです」

エレンは僅かにムッとした表情になりながら、普段と様子が違っていた兵士長を思い出す。

「あれほど思いつめた顔をした兵長を見るのは・・・初めてだったから」

それにはハンジも思い当たる節があるのか、小さくため息を吐きながら頷いた。

「そうだね・・・いつもこの世の終わりのような顔をしている奴だけど・・・私も久しぶりだったな、リヴァイの“あの顔”を見たのは」


“一週間しか・・・時間がねぇんだ”


「リヴァイには本当に時間がないのかもしれないね」


“・・・そこにしか咲かねぇ特別な花なんだよ”


ハンジとエレンにそう告げたリヴァイは、揺るがぬ決意を秘めているようでもあり、全てを諦めているようでもあった。

そう、それはまるで・・・


死出の旅路につく者のごとく───










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