【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第5章 Eye of the Silver Wolf
「・・・静かにしろ、お前ら」
リヴァイはベッドに横たわる兵士に目をやりながら、低い声で言った。
右手には、切り取ったばかりの腕章。
少しの沈黙、そして小さなため息の後に口を開いた。
「オルオ、といったな」
「は、はい!」
熱のない三白眼が、オルオをじっと見つめる。
「・・・お前にもし兵士としてのプライドが少しでもあるなら、仲間に負い目を持たせたまま死ぬことがどれだけ心残りか分かるだろ」
「・・・・・・うぅ・・・」
うな垂れるオルオの前に跪き、震える肩を右手で掴んだ。
「そして、お前のその大したことない頭で考えろ。何をすれば償うことができるのか」
「・・・・・・・・・」
リヴァイの手の中にある腕章がオルオに触れる。
「少なくとも、アイツはお前への恨み言など言っていなかった」
その言葉を聞いた瞬間、オルオは声をあげて泣いた。
自分の力を過信するがあまり、犯してしまった取り返しのつかない過ち。
しかし、悔やんでも失った命は戻らない。
調査兵である以上、死は覚悟の上。
だからどんな理由があろうと、残された兵士は前を向くしかないのだ。
リヴァイはスッと立ち上がると、それ以上は何も言わず、テントから出て行った。