【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第5章 Eye of the Silver Wolf
大麻が入った瓶を若い医師から受け取ると、テントへ戻る途中に空を見上げた。
たくさんの星が輝いている。
子供の頃、母が教えてくれた言葉を思い出した。
人は死んだら星になるのよ。
とても美しい夜空。
同時に、とても悲しい。
それだけ多くの人が死んだということだから・・・
「うわあああ!!!」
リヴァイがいるテントの方から、オルオの叫び声が聞こえてきた。
「俺のせいだ・・・俺のせいで死なせちまった!!」
死なせた・・・?
ていうことは・・・
慌てて戻ると、リヴァイが兵士の瞼を閉じているところだった。
医師はもう次の負傷した兵士の治療に行ってしまったのだろう、ほかには数名のリヴァイ班の兵士しかいなかった。
「申し訳ありません、間に合いませんでしたか・・・」
「いや・・・必要なかった・・・」
顔を見ると安らかな表情をしている。
むしろ・・・大麻など使わない方が良かったのかもしれない。
尊敬してやまないリヴァイに看取られていることを理解しながら、兵士としての役目を終えることができたのだから。
「よく耐えた・・・ご苦労だったな・・・」
リヴァイは無表情のままナイフを手に取ると、汚れた腕章を丁寧に切り取る。
「リヴァイ兵長!!」
堪えきれなくなったのか、オルオがテントの中に飛び込んできた。
そして、リヴァイに向かって額を地面に擦り付けるようにして土下座をする。
「すいません!!俺のせいでこんな事に・・・俺は・・俺はどんな処罰も受けます!」
顔をぐしゃぐしゃにしながら震えているオルオを、リヴァイは静かに見下ろした。
すると、ペトラも中に入ってきて頭を深く下げる。
「兵長、オルオ・ボザドはこの通り深く反省しております。どうか除名処分だけは・・・」