【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第22章 Let Your Heart Be Light
「お前のせいで遅くなっちゃっただろ、ミカサ!」
「途中でケーキを落としたのはエレンでしょ。グチャグチャになったものをサクラに渡すわけにはいかない」
「ちょっと二人とも! リヴァイさんとサクラに丸聞こえだよ」
大きな箱を抱えながらやってくるのは、エレンとミカサ、そしてアルミン。
三人はリヴァイとサクラを見ると、嬉しそうに顔を輝かせた。
「リヴァイさん、サクラ! おめでとうございます!! あ、いや・・・メリー・クリスマス、かな?」
「どっちでもいいだろ、エレン・・・それより声のボリュームを落とせ、何時だと思ってる」
「すいません」
昔のエレンならリヴァイに怒られたとあればシュンとしたものだが、今はまったく気にしていない様子で抱えていた箱を祭壇の上に置く。
中身を見なくても大きさと、先ほどの会話から中身がケーキだということはリヴァイにも分かった。
「無理言ってごめんね、エレン」
「いいんだよ、サクラ! オレも何かしてやりたかったからさ」
そう言いながら箱のフタを開けと、中から立派な手作りケーキが出てきた。
「ミカサとアルミンと三人で作ったんだ、けっこう上手くできたと思うんだけど」
「作ったのは、ほぼミカサだけどね」
「うるせぇぞ、アルミン!」
昔と変わらない三人に、サクラの顔から笑みがこぼれる。
しかしケーキの飾りを見た瞬間、驚きで瞳が大きく広がった。
そんなサクラに、エレンは照れ臭そうにしながら説明し始める。
「お祝いのケーキを用意してくれって言われたけど、リヴァイさんの誕生日ケーキを作っていいのか、クリスマスケーキを作っていいのか、婚約祝いのケーキを作っていいのか分からなかったから・・・」
丸いケーキの中央に描かれていたのは、“自由の翼”のエンブレム。
「団長も、ハンジ分隊長も、ミケ分隊長も、リヴァイ兵長も、オレも、ミカサも、アルミンも・・・そしてサクラも・・・この紋章に誇りを持っていただろ!」
だから、この場を祝うケーキの飾りは、これ以外に考えられなかった。