【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第22章 Let Your Heart Be Light
「・・・サクラ・・・?」
どれほどの暗闇でも、不思議とお前の姿だけは分かる。
その息遣いと体温が生み出す、僅かな空気の変化をこの体は喜んで感じ取る。
「リヴァイ兵長・・・」
ふと祭壇の上に置かれたランプに火が灯った。
優しい顔立ちのサクラが、柔らかい光に照らされる。
「お前・・・ここは・・・・・・」
シンッと静まり返った礼拝堂。
視線を落とすと、クリスマスらしい白と赤のポインセチアがそれぞれの長椅子を飾っていた。
「・・・・・・・・・」
ロウソクの柔らかな光。
クリスマスを祝うポインセチア。
静かで厳かな礼拝堂。
まるで、夢の中かと錯覚するほど幻想的な世界だった。
「不思議だな・・・俺はこれによく似た光景を知っている」
するとサクラは嬉しそうに微笑んだ。
「兵長、こちらへ来てください」
自分を見つめる瞳と、差し伸べる右手。
一歩、一歩、彼女のそばに近づくたび、込み上げてくる思いに胸が熱くなる。
そしてすぐそばまで行くと、少し冷たい手を取り、温めるように身体を抱き寄せた。
「夜遅くに呼んでしまってすみません・・・」
「どうした・・・? 身体が冷てぇな、いつからここにいる?」
「・・・・・・・・・・・・」
サクラは黙っていた。
ぴったりと寄せ合う胸から、心臓の鼓動を感じる。
「ここはあそこに似ていると思いませんか・・・?」
「ああ・・・俺達が誓いを交わした、あの教会だな・・・まさか、こんなにそばにあるとは思わなかった」
祭壇に飾られている聖母マリア像も心なしか、ウォール・マリアのエンブレムとなっていた女神の顔に似ている気がする。
サクラはリヴァイを真っ直ぐと見つめると、微笑みながら口を開いた。
「どうしても今日・・・ここで貴方に伝えたいことがあるんです」
なんだ? と首を傾げていると、頬を赤く染めるサクラの方から唇を寄せてきた。