【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第22章 Let Your Heart Be Light
クリスマス・イブの夜は、いつもよりも空気が澄んで見える。
雪こそ降っていないものの、街のイルミネーションの明かりが幻想的な銀世界を生み出していた。
白い息を吐き、マフラーに顔をうずめながらサクラと一緒に住むマンションに戻ったリヴァイは、部屋に人の気配がしないことに顔をしかめた。
「サクラ、いねぇのか?」
返事がない。
ポケットに入れたままのスマホを取り出してメールアプリを開くと、先ほど送ったメッセージに既読はまだついていなかった。
こんな時間に、いったいどこへ行ってしまったのだろう。
書き置きでもあるかと思ってダイニングテーブルを確かめたが、そこには今朝読んでいた恋愛小説が置いてあるだけ。
ドクン・・・
心臓が嫌な音を立てた。
これじゃまるで・・・まるで・・・
お前を失った日のようじゃねぇか・・・
一番思い出したくない過去が頭をよぎった瞬間、スマホがメッセージの着信を告げる音を鳴らした。
急いで画面を確認すると、一件の未読メッセージ。
画面に表示されている時間は、深夜0時ちょうどだった。
“リヴァイ兵長、おかえりなさい。お疲れのところ申し訳ありませんが、こちらに来ていただけますか?”
メッセージと一緒に貼りつけられていた住所。
リヴァイは地図アプリで開いて場所を確認すると、部屋を飛び出した。
指定された場所に心当たりはない。
マンションからそれほど遠くはなさそうだが、そこでぶっ倒れているんじゃねぇだろうな。
もしくは、何かトラブルに巻き込まれているのか?
「そもそもこんな夜中に何してやがる・・・危ねぇだろうが」
心配するとイライラしてしまう性格は、昔から変わらないようだ。
そんなリヴァイの気持ちを慰めるためか、たまたま前を通りかかったジャズバーからクリスマスソングが流れてきた。