【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第22章 Let Your Heart Be Light
「前から思っていたことがある」
「何ですか?」
「お前は俺よりも先に過去の記憶を取り戻していたが、もし俺が思い出さなかったらどうするつもりだった?」
引き寄せられるように桜の咲く国へ来て、長い冬を乗り越えた花たちが一斉に蕾を開く春爛漫の中、リヴァイはサクラと再会した。
それだけでは、かつて自分がサクラを愛していたということを思い出せなかったかもしれない。
ただ、ハンジの知り合い・・・という認識だけで、恋愛感情を持たなかった可能性だってあるんだ。
すると、サクラはリヴァイの頬を包み、愛おしそうにその三白眼を見つめた。
「リヴァイ兵長が私を覚えていなかったとしても・・・私が貴方を覚えている限り、貴方を愛することはやめませんよ」
“これでも自分の異常さは分かってるつもりです”と言って笑う。
幾度となく繰り返された転生の中で・・・
二人とも記憶を取り戻せずに終わったこともあったかもしれない。
二人とも記憶を取り戻したが、再会できずに終わったこともあったかもしれない。
片方だけが記憶を取り戻し、ただ見つめるだけに終わったこともあったかもしれない。
今、奇跡的な確率でこうして二人は寄り添っている。
「リヴァイさん、今日はお仕事ですか?」
「ああ。ハンジの野郎がちゃっかりと休暇を取りやがったからな」
“どうせあんたはヒマでしょ、リヴァイ。あとはよろしくね~”
リヴァイが勤める会社の本社に勤務するハンジは、早々とクリスマス休暇に入ってしまった。
しかも、リヴァイに大量の仕事を残していくという、迷惑な置き土産付きで。
エルヴィンも昨日から休暇だし、なんで自分だけ仕事をしなければならないのか。
今日はクリスマス・イブ。
しかも土曜日とあって、世間はすっかり盛り上がってしまっている。
「せっかくのイブだが、食事にも連れていってやれそうにない・・・すまない」
「リヴァイさんもそういうことを気にするんですね。また一つ、私の知らない貴方を知ることができました」
クスクスと笑いながら、リヴァイの唇に軽くキスをする。