【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第22章 Let Your Heart Be Light
君がいないと僕は生きていけない。
そう言った男性に、女性はある提案をした。
たった一日でいい。
私と会わず、口もきかずにいられるかしら?
もしそれができたなら、私は一生貴方のものよ。
喜んで女性の提案を承諾した男性は約束の日、彼女に会いに行くことも、声を聞きにいくこともしなかった。
そして翌日、朝一番に愛する女性のもとへ向かった男性。
昨日は君に会わなかったし、君の声も聞かなかったけれど、僕は大丈夫だった。
さあ、僕のものになってくれるね?
しかし、花束を持って迎えに来た男性の顔を、彼女は見ようともしなかった。
声すらかけようとしなかった。
ただ、黙って・・・
黙って、ベッドの上に横たわっていた。
愛する君よ、どうして僕を見てくれないのかい?
呼びかけても返事は返ってこず、男性は女性のもとへ駆け寄った。
眠る彼女の胸元には、一通の手紙。
男性宛てだった。
おめでとう。
貴方は約束通り、昨日は一度も私のところへ来なかったし、声も聞こうとしなかったわね。
おかげで私は、貴方に一番見せたくない姿を見せずに済んだわ。
貴方が初めて愛していると言ってくれた日の前日。
私は自分の命が長くないことを知った。
長く生きられない私のために、貴方の大切な時間を使って欲しくはないと思った。
だから、貴方の愛に応えてはいけないと思っていた。
私がいないと生きてはいけないと言った、貴方。
でもほら、昨日は私がいなくてもちゃんと生きていられたでしょう?
だからきっと、この先も大丈夫なはず。
ごめんなさい、もうペンを持つのもつらくなってきた。
最後に。
約束通り、私は貴方のものよ。
おかげで私は貴方の命の一部として、一緒に生きていくことができる。
心から愛しているわ。
そして、
ありがとう。