【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第22章 Let Your Heart Be Light
死にたがりの頭がおかしい人間だろうと、
巨人を恐れない勇敢な人間だろうと、
人類最強の兵士だろうと・・・
誰だって死と直面するのは怖い。
特に愛する者の死は────
世間は知っているのだろうか。
調査兵は死にたがりなわけではない。
巨人を恐れない勇敢な人間でもない。
ただ、願っているんだ。
愛する者が巨人の恐怖から解放され、明日も生きていて欲しい、と。
調査兵は“未来”を守っている。
「兵長・・・」
リヴァイの腕の中で、サクラは心臓がチクリと痛むのを感じた。
このところ、時々痛むことがある。
きっとリヴァイの強い想いに、心が共鳴しているのだろう。
そう言い聞かせながら、ゆっくりと目を閉じる。
「兵長・・・今日は壁外調査で疲れたでしょう・・・」
貴方はきっと、私が死んでも立ち止まることはない。
私の遺した意志を継ぎ、この美しい世界を守ろうとしてくれる。
だから、今は・・・
今だけは・・・
「どうか・・・休んでください」
いつかの壁外調査で貴方は誓ってくれた。
“真実の愛情”という花言葉を持つゼラニウムがちりばめられた教会で・・・
自由の翼を背負って戦うという運命を捨ててでも、私を守ってくれると。
“俺の運命を犠牲にしても、お前を愛す。だからそばにいて欲しい”
そして私は貴方に誓った。
“この命がある限り、貴方を愛することを”
この心臓が鼓動を止めるその時まで、それは変わりません。
───死が二人を分かつまで・・・
互いに誓いを捧げ合ったその日から、エルヴィンが用意してくれたこの部屋で生活をしている、リヴァイとサクラ。
二人がゆっくりとベッドに沈み込むと同時に、テーブルのロウソクの火もそっと消えた。