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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第21章 感謝のShort Story




エレン。
お前はサクラへの想いをいつまでも引きずっているべきではない。

お前は先に進め。


「部下の色事に口を出す気はねぇが、今は大事な壁外調査が控えてる。自慰で我慢しとけ」

「は?!」

「俺やエルド達に気を使うことはない。そもそも、お前の部屋は地下だから問題ないはずだ」

それまでの空気を一変させる、突拍子もないリヴァイの言葉にエレンは思わず目を白黒させた。
しかし、リヴァイの方は特に表情を変えず、腕組みしながら部下を見上げている。

「なんだ、お前くらいの年齢じゃ毎晩のことだろ」
「へ、兵長、いったい何をッ!」
「あ? まさかお前、本当に“ガキ”なのか?」
「・・・・・・・・・」

ライナー達とだったらこの手の会話も弾むが、相手が兵士長となれば話は別だ。
どうしていいか分からず、顔を真っ赤にさせながら俯いた。

この人なりに、空気を和ませようとして言っているのだろうか。


「あの兵長・・・オレ、すごく戸惑ってるんですけど」

「そりゃ悪かった」

「・・・・・・・・・・・・」

「サクラの事を想像してヤッてるんじゃねぇかと思ってな」


自慰の話をする時ですら、いつもの淡々とした口調。
でも、サクラの名前を出す時、一瞬だけ悲しそうな瞳をした。

部下の死など、何度も見てきたはずなのに・・・


「あの・・・失礼ですが・・・もしかして、兵長も・・・」


不思議に思っていた。


貴方は何故・・・

ラベンダーを知っていたのですか・・・?


「リヴァイ兵長も、サクラの事・・・」


リヴァイとエレンの視線がぶつかる。


貴方も、サクラの事が好きだったのではないですか?


しかし、エレンはそれを聞く事ができなかった。
仮にリヴァイがサクラを愛していたとしたら・・・


“ アイツの身体は壁の外に置いてきたが、心臓はこの俺が引き継いだ ”


さっきの言葉はきっと、断腸の思いで口にしたのだろう。
思春期のガキが抱く、ほのかな恋心とは訳が違う。

エレンにはまだ、残酷すぎる事実を受け止められる自信がなかった。



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