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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第21章 感謝のShort Story





「ラベンダーの美しい青・・・

ラベンダーの瑞々しい緑・・・

あなたが王様なら、わたしは女王になりましょう」


歌い終えたエレンの瞳に映ったもの。

それは、子守唄に誘われるまま眠りに落ちた赤子のように瞼を閉じている兵士長だった。

・・・眠っているのか?
いや、この人は他人に無防備な姿を見せない。


「へ・・・兵長?」

起きていれば気が付き、眠っていれば耳に入ることのない程度の声で名を呼んだ。
すると、数秒の間を置いてから、ゆっくりと細長い睫が動く。


その冷たい三白眼で、いったい何を見つめるのだろうか。
その冷たい心で、人を愛することはあるのだろうか。


「・・・エレン」

心から尊敬する人。
同時に、恐怖を覚える人。

そのリヴァイの口元を、エレンの大きな瞳が見つめた。


「お前、サクラが好きだったんだろ」

「はい・・・」

「その気持ち・・・」


痛いほど分かる。
そして・・・救われる。

この世界で、自分の心の中以外にもサクラの存在が残っているという事に。


しかし、リヴァイはそれを言葉にはしなかった。
代わりに新兵の頭をグリグリと撫でる。


「早く忘れろ。お前はまだ若いし、今は他に大事なことがあるだろ」
「そう・・・ですよね・・・」
「もうすぐ大規模な壁外調査がある。少しでも集中を欠いたら、その瞬間に巨人の胃袋の中だ。気づいた時にはクソになってる」


だが、安心しろ。
それは絶対にない。

俺と“サクラ”がお前を守る。


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