【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
大きな瞳から零れ落ちるエレンの涙。
それを止めてやりたいと思うのは、自分の中にあるサクラの心がそうさせているからか。
安心しろ・・・
リヴァイはエレンに向かって手を伸ばした。
そして、親指で涙を拭ってやる。
「兵長・・・?」
「もう泣くな」
エレン・・・お前は俺が守る。
この命ある限り。
お前が何故、巨人の力を持って人類の前に現れたのか。
そんな事は俺には関係のないことだ。
サクラがお前の身を案じ、俺にお前を守って欲しいと願っていた。
エレン・イェーガーという化け物を守る。
この世界で、俺以外に適役はいない。
否、俺以外の誰にも譲らない。
サクラの願いを、想いを、守るのは俺だけでいい。
「・・・・・・・・・・・・」
数分の沈黙が流れ、エレンの口からある歌が零れ始めた。
「ラベンダーの・・・美しい青・・・ラベンダーの・・・瑞々しい緑・・・」
その音律に、リヴァイの瞳が大きく開く。
「あなたが王様なら・・・わたしは女王になりましょう・・・誰がそう言ったの・・・誰がそう決めたの・・・」
ああ・・・懐かしい。
「それはわたしの心よ、美しい人」
エレンよ・・・俺は残念ながら、この歌を知らない。
だが・・・
「私の心がそう決めたの・・・」
そのメロディーは聞いたことがある。
綺麗な色で溢れた、美しい世界の中で耳にした。
「エレン・・・その歌を最後まで歌ってくれ」
このラベンダーの花の前でその歌を聞いたら、一番幸せだった時間が戻るような気がする。
リヴァイはそっと目を閉じた。
声変わりがすんだばかりの少年が歌う、子守唄。
優しく、切なく、こんなにも心が救われるような気持ちになる。
張り詰めた空気を常に漂わせていたリヴァイの表情が、僅かに和らいだ。