【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
「サクラは、今どうしているのでしょうか?」
その質問をされることは、予想していたのだろう。
青みがかった三白眼が真っ直ぐとエレンを捉えた。
「聞きてぇか?」
「はい」
念を押したリヴァイの言葉に、一瞬だけ浮かぶ迷いの色。
しかし、この15歳の新兵はおそらく、誰よりも強い心を持っている。
その心が暴走しないよう、制御することが必要だ。
“ お願いです、リヴァイ兵長・・・どうか、彼を守ってあげてください ”
エレンを見つめる、リヴァイの瞳が揺れる。
「サクラは・・・」
ラベンダーの小さな花弁に目を落とし、続けた。
思えば“あの日”から彼女の事を語るのは初めてだ。
「第55回壁外調査で、人類の未来の礎となった。最期の瞬間まで、調査兵としてな・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「アイツの身体は壁の外に置いてきたが、心臓はこの俺が引き継いだ」
リヴァイが言い終えた瞬間。
エレンの両目から涙が零れた。
同時に、胸に手を当てて大きな笑みを浮かべる。
「そっか・・・それなら、良かった」
もともとサクラの心臓は、リヴァイの力を分け与えられたためにその寿命を縮めることになった。
そのせいか、彼女が亡くなってからというもの、リヴァイは不思議と以前よりも身体が軽く、底知れぬ力がみなぎるような気がしていた。
まるで、サクラの中にあったリヴァイの力が元に戻り、彼女の命とともに生きているようだ。
「ありがとうございます、リヴァイ兵長」
それは、エレンの心の底から出てきた言葉だった。
きっと、サクラは信念を貫き通すことができたのだろう。
それだけじゃない。
リヴァイの中でサクラは生きている。
エレンはそれが嬉しかった。