【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
「忘れろ。サクラがそんな小せぇことを気にするような奴でないことぐらい、お前も知ってるだろ」
それは、サクラという人間をよく知っているような口振りだった。
「お前がそんな顔をしてたら、それこそアイツは困った顔をするだろうな」
リヴァイは元来、粗暴な男だ。
他人を蔑むように“あの野郎”や“奴”と呼ぶことはあったが、サクラを指す“アイツ”には優しさすら込められているようだった。
「リ・・・ヴァイ兵長・・・」
もしかして・・・
もしかして、この人は・・・
エレンは無性に胸騒ぎを覚えた。
アルミンほど洞察力に優れているわけではないが、これまでのリヴァイの言動を見ていたら、どうしても嫌な予感がする。
正規の手段を経て調査兵団に入団していない自分は、まだ他の兵士と顔を合わせていない。
ずっと確かめたかったことがあるが、これまでその機会を得られずにいた。
でも今なら、それをこの人に聞いてもいいだろうか。
・・・否、聞くならこの人しかいない。
そんな気がする。
エレンはラベンダーの花を握りしめながら、唇を噛んだ。
「あのっ・・・一つ聞いてもいいでしょうか?」
「なんだ」
怖い。
でも、聞かなければ・・・
いずれは辿り着く真実ならば、今、この人の口から知りたい。
自分がサクラの名前を出した時、とても優しい目をしたこの人から・・・