【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
「恋愛とか、正直今もよく分からないけど・・・きっとオレはサクラが好きだったんだと思います」
部下の告白を聞き、リヴァイはそっと瞼を閉じて大きく深呼吸をした。
怒りを抑えるため・・・?
いや、違う。
サクラが自分以外の男とキスしていたと知り、さらにその男がサクラに特別な感情を抱いていると知った今・・・
リヴァイは不思議と安らぎに近いものを感じていた。
「それで・・・何でお前はサクラに謝りてぇんだ? 好きならキスしたいと思うのは当然のことだ」
「それは・・・サクラが困ったような顔をしてたから・・・それがずっと引っかかってて・・・」
エレンが覚えている限り、いつもサクラは笑っていた。
ミカサやアルミンもきっと、そんな彼女しか知らないだろう。
でも、あの日・・・
キスをされたサクラは、エレンを拒絶していた。
「オレはアイツが笑顔でいてくれないと嫌なんです。悲しそうな顔されると苦しくなるし、泣きたくなるんです」
「・・・俺よりデカイ図体して何言ってる」
「・・・すいません」
兵長に何を言っているんだ、自分は。
忙しい人だ、こんなガキの悩みに付き合っている暇などないはず。
申し訳なくて、情けなくて、エレンはただ謝ることしかできなかった。
「・・・・・・・・・・・・」
うなだれていると、隣の椅子を引く音が響く。
リヴァイがその椅子にドカリと座ったかと思うと、信じられない事が起こった。
「へ、兵長・・・?」
普通の成人男性と比べたら小振りな手が、エレンの髪を撫でていた。
それがリヴァイの手以外にはあり得ないというのに、認識するまでに時間がかかる。
まさか人類最強の兵士が、たかが新兵の頭を撫でるなんて・・・
もしここにオルオが居たら発狂していただろう。