【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
「森で見つけました。これを乾かして、小さな袋に詰めようと・・・」
青紫色の小さな花弁が無数についた花。
リヴァイにとって、それはあまりにも残酷な記憶を呼び起こさせる。
「シーツに添えておけば、良い匂いがするかと思って・・・」
“ この花は、兵長によく似合うと思います ”
人類の未来を願い、人類の希望に全てを託し、心臓を捧げた防壁の女神。
“ この花が持つ言葉は、“優美”と“沈黙”です。清潔を保ち、傷を癒すからそう言われています ”
本当にそうだろうか。
この花を前にしても、彼女を失った傷を癒す効果を感じられない。
あれからまだ数カ月・・・
平然とこの花に触れられるほど、この喪失感は簡単に埋められるものではない。
「・・・・・・・・・・・・」
視界の端に映る、エレン・イェーガー。
愛する人に全てを託されたのだから・・・
彼女の願った人類の未来を守っていかなければ。
そのためには、このガキの命を守らなければいけない。
「兵長・・・? 気分が悪そうですが・・・この匂いが嫌いでしたか?」
リヴァイは小さく首を横に振った。
それがやっとだった。
「エレン・・・この花を何故・・・?」
「オレの大切な人が教えてくれたんです。この香りは心を落ち着かせてくれるって聞いたから」
“ これはラベンダーという花です。この香りには心を落ち着かせる効果があるんですよ ”
「・・・俺もそう教わった。足湯の中にその花を入れてもらったことがある」
「それ、オレも好きでした。リヴァイ兵長もそういうことをするんですね」
意外にもリヴァイとの共通点を見つけることができたエレンは、嬉しくなって表情を綻ばせた。
しかし、リヴァイにとっては辛すぎる過去の一つだ。
「まあ・・・それも1度だけだったがな」
「それなら、今晩にでもオレがご用意しましょうか?」
「いや・・・お前が自分のためにやれ。俺はいい」
「そう・・・ですか・・・」
憧れの人とようやく打ち解けられると思っていただけに、再びリヴァイとの距離を感じたエレンは、しょんぼりと頭を下げた。
やっぱり、この人は遠い存在なのか・・・