【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
調査兵団に入団したとはいっても、エレンは他の兵士から離れ、旧本部でリヴァイ班と寝食を共にすることから始まった。
共同生活には慣れているが、ストレスが無いといったら嘘になる。
先輩達の自分に対する警戒心を常に感じるし、班長であるリヴァイは口数が少ない上に、何か言うとしても小言ばかり。
「エレン、なんだこの床は。磨き直せ」
「エレン、シーツを乾す時はシワが無くなるまで伸ばせ」
「エレン、庭の雑草が残ってるぞ」
最初は何をしてもリヴァイに認めてはもらえなかった。
リヴァイという男は、訓練や料理に関してはそこまで厳しくないものの、掃除と洗濯に関してはどんな些細なことも見逃さず、妥協を許さない。
リヴァイ兵長と結婚する人は、きっと大変だろうな・・・
洗濯したシーツはどれもシワが無く、両端がピシッと揃えられているかを確認してから乾す。
洗濯物を終えたエレンは、額に滲んだ汗を拭いた。
ここに来て、1カ月弱。
さすがにこの生活にも慣れてきた。
リヴァイ班だけで行われる訓練も、ようやく先輩達についていけるようになってきた。
最初は全てのことにおいて必死だったエレン。
少しずつ余裕が出てきた近頃、ある想いがふと胸をよぎるようになった。
サクラは、どうしているだろうか・・・
ペトラ、オルオ、グンタ、エルド、ハンジ、エルヴィン、そしてリヴァイ。
誰の口からもサクラ・ブルームの名前が出ることはない。
もちろん、サクラは一般兵士だ。
リヴァイ班のような精鋭達の話題に上がることなどないだろう。
せめて、所属している分隊だけでも分かれば良いのだが・・・
こうして、自由の翼のエンブレムがついた兵服を着る自分を見て欲しい。
“ 次に会う時はオレも調査兵だ ”
“ 楽しみにしてるよ、イェーガー訓練兵 ”
最後に会った日のサクラの笑顔を思い出す。
調査兵になればすぐに再会できると思っていたのに・・・
会いにも来てくれないのか・・・
もしかしたら、トロスト区で巨人になった自分の姿を見られたかもしれない。
そうでなくても、調査兵団の中で噂になっているだろう。
自分に巨人の力があると知って、不信感を抱いているのかな・・・