【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
これは・・・きっと演出だ。
この人はオレを守ろうとしてくれている。
口と鼻からとめどなく流れる血を眺めながら、ボンヤリと思った。
たとえ今、エレンに向かって銃の引き金を引かれても、この兵士長は絶対に離れない。
エレンを敵視する人間から守るように前に立つその姿が、そう物語っていた。
リヴァイ兵長・・・どうして・・・・・・
「エレン・イェーガーは調査兵団に託す」
そう決まった瞬間、微かに見上げたエレンと、リヴァイの視線が交差する。
冷たい三白眼。
他人に恐怖を与えるその瞳が、エレンに語りかける。
俺がお前の命を預かる。
この世界で、俺以外に適役はいない。
否、俺以外の誰にも譲らない。
その時だった。
途切れそうな意識の中で、エレンの耳にトロスト区で聞こえてきた“あの声”が響く。
“ この人は貴方を守ってくれる・・・信じて ”
「・・・サクラ・・・?」
どこに・・・どこに・・・いる・・・?
・・・会いたい。
しかし、その姿はどこにもなく。
エレンの呟きは誰の耳にも届かぬまま、調査兵団への入団が正式に認められた。