【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第5章 Eye of the Silver Wolf
「狼に助けられた?そんな馬鹿な話があるか」
無事に生還したサクラとロゼに、教官は夢でも見たのだと言い放った。
事実、去年同じ訓練で遭難した訓練兵は、狼に喰い殺されていたという。
結局、狼の件はサクラの幻覚だということになった。
しかし、その話を信じた者がたった一人。
「私は信じるよ」
それは、フリーダだった。
「その狼に、いつかお礼しなきゃね。私の親友達を助けてくれてありがとう、って」
窓の向こうの雪山を見つめ、儚く微笑んだ。
「本当・・・いつか、力になりたいね・・・」
フリーダの気持ちに共鳴したのか。
山の向こうから、狼の遠吠えが聞こえた。
一匹の銀狼。
強さゆえに孤独で
気高さゆえに美しい。
なぜ、命を助けてくれたのだろう。
気まぐれだったのか、なにか意味があったのか。
ただ、あの深い瞳がとても印象的で・・・
「リヴァイ兵長・・・」
巨人の骸のそばで部下を静かに見つめるその瞳が、あの時の狼と同じものだった。