【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
「お前は心からブルームを愛しているんだな」
「・・・ああ・・・正直、自分でも驚くほどにな」
一切表情を変えずにそう言ったリヴァイに、エルヴィンは小さく笑うと椅子から立ち上がった。
そして、ガラスがはめられた棚へ向かう。
「約束だったな」
「約束?」
中から半分ほどの量になったボトルを取り出し、リヴァイに向かって微笑んだ。
その琥珀色の酒には見覚えがある。
「ああ・・・おととい屋上に持ってきた、ナイルからもらったという上等な酒か」
「そうだ。お前、無事に帰ってきたら飲むといって、あの時は口を付けなかっただろう」
エルヴィンはボトルの後ろに並べてあったグラスを二つ取り、片方をリヴァイに手渡した。
「“祝杯”といこうじゃないか」
そう言って、なみなみと注ぐ。
まだ外はじゅうぶん明るいし、酒を飲むには少々早い時間だ。
しかし、リヴァイも黙ってグラスをエルヴィンの方へと傾ける。
「この美しい桜、そしてリヴァイとサクラの愛に」
いつものリヴァイなら、「何クセーこと言ってやがる」と吐き捨てたかもしれない。
しかし、今日は嬉しそうに瞳を揺らし、カチンとグラスを鳴らした。
「・・・乾杯」
小さくそう呟くと、エルヴィンの顔を見ながら喉の奥へと酒を流し込む。