【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第21章 感謝のShort Story
そういえば、こうしてリヴァイと呑むのはどれくらいぶりだろう。
これほど美味い酒だ、今なら少しくらい本音を口にしても良いだろうか。
「お前とブルーム・・・幸せになれるといいな」
「・・・・・・・・・・・・」
サクラの命も、リヴァイの命も・・・
調査兵団団長である自分次第、ということは分かっている。
いつか、自分はサクラ・ブルームを殺す選択をするかもしれない。
それでも・・・
上等な酒と、サクラの笑顔に酔いしれるリヴァイを目の前にしていると、人類の未来や兵士としての使命など忘れ、ただの友人として幸せになってもらいたいと思う。
そんな団長の、言葉に出来ない想いを悟ったのかもしれない。
「エルヴィン」
机の上に置いてある桜の花びらに目を向けながら、リヴァイはそっと口を開いた。
「俺はこれからもお前に従って、壁の向こうに行く」
「リヴァイ・・・」
「そして・・・」
いつか、サクラが愛する花を、自由に見にいくことのできる世界を取り戻す。
そう言って、最後の雫を飲み干したリヴァイを、エルヴィンは優しく見つめた。
「ああ・・・そうだな、リヴァイ」
だが・・・
まずは無事に戻ってきてくれてありがとう。
腹心の友への感謝と、祝福を込め、エルヴィンも美酒を一気に喉へ流し込んだ。
第8.5章 『 Toast To Your Love 』 Fin.