【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
古来よりそこにあるという神社。
山の上で悠久な佇まいをしているその建物から、圧巻の景色を一望できる。
「“一目千本”と謳われているらしい」
ハンジがそう言って、目を細める。
エルヴィンは、“ほう・・・”と感嘆のため息を漏らした。
エレン、ミカサ、アルミンも言葉を失う。
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイは呼吸をすることすら忘れていた。
間違いない。
記憶も曖昧なほど幼い頃から、ずっと焦がれてきた。
一目千本。
一目に千本見える豪華さ、という意味の言葉。
それが讃えるは、この・・・
爛漫の山桜。
“ その花が咲く木の前に立つと、空も、風も、大地も、すべてその色に染まるんです ”
空も・・・
風も・・・
大地も・・・
全てが桜色に染まっている。
ずっと見たいと思っていた。
「そうか・・・」
焦がれていたのは、この景色を見たことがあるからだ。
リヴァイが深呼吸をした、その時。
ふわりとした甘い香りが鼻をくすぐった。
これは桜の香りではない。
「リヴァイ?」
香りに誘われるように歩き出したリヴァイを、ハンジは不思議そうに見つめた。
「どうしたの?」
「・・・ラベンダーの香りがする」
「ラベンダー? 誰かの香水かな?」
この桜景色にはそぐわないかもしれない。
しかし、確かに香ってくる。
そして、リヴァイの胸は高鳴っていた。
初めて訪れる異国の地での、懐かしい光景。
爛漫と咲き誇る花とは違う、香り。
その矛盾が、全て一つに繋がっていく。