【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「おーい、リヴァイ!」
数メートル先で、ピョンピョンと跳ねる茶髪のポニーテールが見える。
それに、周囲から頭一つ分飛び出した金髪。
「ったく、あいつら目立ちすぎなんだよ・・・」
リヴァイが務める会社の副社長エルヴィン・スミスと、経営戦略部部長のハンジ・ゾエ。
そして、エレンの同期ながらエルヴィンの秘書をしている優秀なアルミン・アルレルトが並んでいる。
三人はリヴァイ達が転勤するタイミングに合わせ、わざわざ休暇を取って日本までやってきた。
特にハンジは、リヴァイにこの地が絵葉書の場所であることを教えた張本人だ。
「ハンジ・・・テンション上げてんじゃねぇよ。デカい声で人の名前を叫びやがって・・・ジロジロ見られてんだろ」
「だって、いてもたってもいられないよ! ようやくリヴァイに紹介できるんだから!」
「紹介? ハンジさん、何のことですか?」
「あれ、エレンには言ってなかったっけ? 文通相手をリヴァイに紹介するために、私もわざわざ日本に来たんだよ」
エルヴィンはただの野次馬だがな、とリヴァイが付け加える。
「文通? ハンジさん、文通していたんですか? 意外だな」
「バックパッカー時代に、日本で知り合った子とね」
ハンジはとても優秀だが、自由すぎて時々トラブルを起こす。
今まではリヴァイがフォローしていたが、これからはモブリットやミケがフォロー役に回るのだろうか。
一抹の不安を感じながら、リヴァイはため息を吐いた。
「でも、ハンジさんって日本語書けたんですか?」
エレンが首を傾げると、ハンジはあははと笑って首を横に振る。
「彼女の父親が日本人とのハーフなんだ。自分のルーツを求めて日本に来たんだって」
「なるほど、日本人の血が四分の一ほど入ってるのか。じゃあミカサよりも薄いんだな」
「まぁ、ミカサがエレンのことがあったにしても日本へ来ることを選んだように・・・きっと、この国はそれだけ惹きつける“何か”があるんだろうね」
ハンジは視線を上げた。
自分でもまさか、ここまで美しい景色だとは思っていなかった。
尾根から尾根、谷から谷へと埋め尽くす、儚げで可憐な花。
リヴァイだけでなく、“彼女”も大切に思う気持ちが分かる。