【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
礼拝堂から出ると、シェリーがドアの前で悲しそうな瞳をしながら佇んでいた。
「行くぞ、シェリー」
お前の主人は、もういない。
しかし、シェリーは手綱を引っ張ってもそこを動かなかった。
首を振り、抵抗する素振りを見せる。
「オイ、諦めろ。もうすぐ巨人が活動を始める・・・その前にエルヴィン達と合流しなければならない」
前は、リヴァイの命令によく従っていたはずだ。
それでも動こうとせず、とうとう礼拝堂の前で座り込んでしまう。
「シェリー・・・お前、サクラのそばから離れたくねぇのか?」
長い睫毛に縁取られた瞳を悲しく揺らす愛馬。
主人の死を理解してもなお、その場を離れようとしない。
「そうか・・・」
すると、リヴァイの馬がシェリーに歩み寄った。
血を分けた双子馬が、愛情を示すように鼻先を突き合せる。
それはまるで、別れの言葉を交わしているようだった。
「ならば、シェリー・・・お前は最期までサクラと一緒にいてやれ」
サクラもきっと喜ぶだろう。
リヴァイは馬に跨ると、礼拝堂を見つめた。
ここでサクラに永遠の愛を誓ったように、いつか再び出会うことを胸に誓う。
そして、サクラを死に追いやった巨人を必ず絶滅させる、と。
どこまでも広がる草原。
朝焼けが空を金色に染める。
美しいとは思わない。
それでも、この景色を守りたいと思う。
どんなに残酷な世界だろうと・・・
サクラが心から愛した場所だから。