【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
ヒラ・・・
ヒラ・・・ヒラ・・・・・・
花びらが頰を撫でるような感覚がして、リヴァイは目を開けた。
シンと静まり返った世界。
目の前に広がる空が白み始めている。
夜明けは、近い。
桜の木はどこにも無かった。
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイはそっと起き上がると、ずっと抱きかかえていたサクラに目を落とした。
ピクリとも動かない、冷たい肌に指を這わせる。
そして、胸元のベルトと、シャツのボタンを外した。
下着をずらすと、最後に肌を重ねた夜につけたキスの痕が心臓の上に残っている。
「できれば、お前の心臓を持って帰りてぇところだが・・・この綺麗な身体に傷をつけたくない」
リヴァイはゆっくりと立ち上がると、サクラの体を抱き上げた。
そして礼拝堂へ向かい、木製のドアを開けた。
奇跡的に、巨人に荒らされていない祈りの場。
長椅子が左右に5脚ずつだけの、簡素な造りをしている。
しかし、天窓にはステンドグラスがはめられており、陽が差し込んだら七色の影を落とすだろう。
その中央にある祭壇の上にサクラをそっと寝かせる。
「再び出会うまで、安らかに眠れ」
荷馬車班が壊滅した今、死んだ兵士の身体を持って帰ることはできない。
兵服についた自由の翼のエンブレムも残していく。
調査兵団の証をお前から奪うわけにはいかない。
「お前が遺したものは、全て俺の心の中にある」
愛している。
最後に耳元で囁き、微笑みを浮かべている唇にキスをした。