【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
白壁が美しい、礼拝堂。
村の信仰の中心だったのだろうか。
尖った四角錐の屋根、その根本に錆びた鐘がぶら下がっている。
サクラに永遠の愛を誓った、その場所に酷似していた。
そして・・・
村人の憩いの場として使われていたのだろう、礼拝堂の前にある広場。
その中央に、一匹の馬が佇んでいる。
美しい毛並みに、優しい目をした牝馬。
一点を見つめ、微動だにしない。
その視線の先を見た瞬間、この世界から色も、音も、冷たさも、暖かさも、全てが消えた。
強い、巨人の死臭。
地面に点々と存在する黒焦げの土が、ある線を境に途切れていた。
戦っている最中に流した血が、偶然にも一本の線のように伸びたのか。
礼拝堂の広場を中心から二つに分けるように、5メートル程の血痕で描かれた線。
これを境界線として巨人の進行を阻んだのは、明らかだった。
「お前は・・・防壁となったんだな」
その線と礼拝堂の向こうでは調査兵団が移動していただろう。
しかし、巨人の死体はおろか、足跡一つない。
“ 貴方は、この世界を護る女神だ ”
一糸纏わぬ姿を見て、そう感嘆を漏らした者がいた。
「お前は・・・自身の血で壁を造り、調査兵団を護り抜いた」
その線の中央に横たわる、一人の少女。
「サクラ・・・」
祈りを捧げるように天を仰ぎ、静かに目を閉じている。
柔らかに地面に置かれた両手には、刃が欠けたブレードが緩く握られていた。