【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
リヴァイはハンジに背を向けると、エルヴィンを一瞥してから馬に跨った。
サクラを守るため、頑なに自分の班には入れなかった。
ハンジにその身を託し、全ての判断を任せた。
エルヴィンと共に行動すれば安全だと思った。
しかし、最善だと信じていた選択が、このような結果へと繋がった。
今、自分はサクラを置き去りにして、調査兵団を守ることを選んでいる。
この結果がどうなるのかは自分にも分からない。
ただ・・・
現時点で、これが一番悔いの残らない選択に思えた。
「エルヴィン」
「・・・なんだ、リヴァイ」
「お前は俺に言ったな・・・壁の外の広大な空間に、俺たちの絶望を照らす何かがあるかもしれないと」
「ああ・・・しかし、それはまだウォール・マリアの向こうだ。我々は5年前、大きく後退してしまった」
「・・・なら・・・クソみてぇなプライドや、意地を振りかざしている場合じゃねぇよな」
ファーランやイザベルを失った時のように。
そして、誰よりも世界を愛し、人類に希望を与えたがっているサクラのために。
「前へ・・・進むぞ」
悲しいまでに、強い兵士長。
エルヴィンは尊敬の念すら抱いた。
運命がもし、リヴァイに人類最強という重荷を背負わせなければ・・・
彼は、意のままに愛する人を守ることができたかもしれない。
「総員、出立用意!」
エルヴィンの号令で疲れきった顔の兵士達が腰を上げる中、ペトラがリヴァイへと駆け寄った。
そして、自分のケースから予備のブレードを引き出し、リヴァイのケースに補充する。
「リヴァイ兵長が、余計な心配をすることなく戦えますように」
「ペトラ・・・」
すると、今度はオルオがリヴァイに自分のガスタンクを渡した。
「俺はまだ立体機動装置を使ってませんから満タンっす。最悪、俺は走ってでも兵長に付いていきますから!」
普段は鬱陶しいとさえ思うこともある部下達。
しかし、リヴァイを見つめ、憧れ、追いかけてきてくれる。
こいつらのためにも、兵団は守らなければならない。
ペトラとオルオの行動に、自分が下した残酷な選択にも僅かながら光が見えたような気がした。