【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「リヴァイ。我々は先を進む。お前は残った班員とともに本隊を護衛しろ」
エルヴィンの命令に、静かに顔を上げる。
そして、冷たい三白眼を向けた。
「・・・了解だ、エルヴィン」
その瞬間。
リヴァイの瞳から、全ての色彩が消えた。
サクラを置いて、先に進む。
世界は今、リヴァイにとってなんの価値もない。
ただ守らなくてはならないだけの対象に成り下がった。
「だが・・・兵団が無事に補給拠点に着いたら、俺は引き返してサクラの所へ向かう」
「・・・・・・・・・・・・」
「一人で行くから、文句はねぇはずだ」
壁外において、単独行動は死を意味する。
しかし、それはこの男には当てはまらないだろう。
リヴァイは顔に付いた泥を拭いながら、絶句しているハンジの方を向く。
「ハンジ」
「な・・・何・・・?」
「サクラは何体の巨人を相手にしていた?」
「・・・我々と別れた時点で5体だ・・・もしかしたら、さらに多くの巨人が集まっているかもしれない」
悔やんでも悔やみきれないといった様子のハンジ。
自分さえ手傷を負わなければ・・・
いや、そもそもが本隊から離れたのが誤りだったのかもしれない
「全ての巨人を倒し、あれだけの少人数で移動して助かることができるのは、リヴァイくらいのものだろう」
そう言った瞬間、ハンジの瞳が大きく揺れる。
リヴァイ・・・くらい・・・?
「サクラには、リヴァイと同じ力がある・・・だが、それを発揮したら・・・」
“ 人は“極限状態”に陥った時、無意識に“リミッター”を解除することができる。生命の危険や緊急事態の時とかね ”
“ リミッターを外すのは誰にでも“できる”ことだ。しかし、誰にでも“許された”ことではない ”
すでに限界を迎えているだろう心臓は、爆発的な力を生み出すために異常なほど大きく鼓動する。
その力は、サクラを殺すだろう。
「サクラの心臓はもう、リミッターが外れたら耐えることができないくらい弱っている・・・」
それはリヴァイの知らない事だった。
だが、その事実を知ってもなお、決意は揺るがない。