【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「最優先にすべきは、サクラの命ではない。この調査兵団そのものだ」
あえて言おう。
恨むなら、多いに恨め。
憎むなら、多いに憎め。
団長として、地獄に堕ちる覚悟はできている。
そして、生涯お前の殺意を浴びながら生きていくことも。
「我々は、なんとしてでも隊としての機能を保ったまま帰還しなければならない。さもなければ、調査兵団は編成を解かれるだろう」
そうなれば、人類は巨人の謎を解明する糸口を失う。
壁に囲まれた狭い世界の中で、ただ家畜のように滅びるのを待つだけだ。
「それでもなお・・・お前は自分の欲求を満たすことの方が大事なのか?」
「・・・・・・・・・・・・」
その時、ミケはリヴァイの抵抗する力が弱まったのを感じた。
もしかしたら油断させておいて一瞬にして足首を取り、形勢を逆転するつもりなのかもしれない。
リヴァイに次ぐ実力者であり、エルヴィンの忠実にして良き理解者である分隊長は緊張を高める。
しかし、リヴァイは動かなかった。
荒い息遣いだけが、掴んでいる後頭部越しに感じる。
「フーッ・・・フーッ・・・!!」
今、とてつもない葛藤と戦っているのだろう。
リヴァイにとっては「死ね」と命令されるより辛いことかもしれない。
愛する人を見殺しにするという選択を下すのは・・・
しかし、リヴァイは可哀想なほど・・・
弱い人間では無かった。
「フー・・・フー・・・・・・」
だんだんと呼吸が小さくなっていく。
そして、ミケに対する抵抗が完全に無くなった。
「ミケ・・・離せ」
ミケはちらりとエルヴィンを見た。
“言うとおりにしてやれ”と、団長が目で答える。
ようやく拘束から解放されると、リヴァイはゆっくりと立ち上がった。
項垂れたままで、その表情は見えない。