【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「わ・・・かりました・・・」
消えかけていた戦意が、再び火を灯す。
女兵士は立ち上がった。
もともと、駐屯兵団ではなく、調査兵団を志願するほどの勇気は備わっている。
巨人に刃を向けることだってできるはずだ。
「サクラさん! 私が巨人の足止めをします!」
声を裏返しながら叫んだ兵士の目からは涙が溢れていた。
必死で己の中にある恐怖心と戦っている。
一度心が折れた者にとってそれは、巨人と戦うより難しいことだった。
それでも立ち上がろうとする。
剣を向けようとする。
サクラは、そんな彼女に対して尊敬の念を抱いた。
「では、前方の7メートル級をやろう!」
「了解!」
赤毛の女兵士は馬に乗り、ヨタヨタと歩いてくる巨人に挑んで行った。
「シェリー!」
きっと彼女が7メートル級のアキレス腱を切ってくれる。
そう信じて、土埃を巻き上げながらその後を追う。
途中、班長がもう1体を殺しているのを目の端で捉えた。
さすがは調査兵団の精鋭。
あとは目標のみ!
「うわぁ!」
恐怖に打ち勝った女兵士。
悲鳴にも近い声をあげ、馬で駆け抜けながら巨人の足首を切る。
何度も繰り返し訓練してきたことは、ちゃんと体が覚えていた。
「シェリー、回り込んで!」
主人の意思を理解する愛馬。
サクラは、立体機動装置を発動させ、片膝をついている巨人のうなじ目掛けて飛び上がった。
一太刀。
首を切り落とすつもりで、うなじに斬りかかる。
ガキンと刃が骨に当たる感覚がしたかと思うと、真っ赤な肉片が地面に落ちる。
熱い蒸気が顔を直撃した。
一瞬にして、視界が真っ赤に染まる。
巨人は表情を変えぬまま、ゆっくりと倒れていった。
「まだだ! あと1体いたぞ!」
物陰に隠れていたのか、6体目が飛び出してくる。
班長の声に、サクラはかろうじて見えた巨人の背中にアンカーを撃ち込んだ。
どこでもいい、どこかに傷をつければ怯むはずだ。
反動を利用して、ブレードを深く巨人の肉に突き刺した。
しかし、傷が浅いうえに弱点ではないので死には至らない。
「ブルーム、俺に任せろ!」
班長がすかさず巨人のうなじを切り落とす。
今度は致命傷に至ったようだ。
大きな音と激しい蒸気を上げながら、6体全ての巨人が朽ちていった。