【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
一人で2体を相手にしなければならないのなら、まずは確実に殺せる方から。
3メートルと巨人の中では小柄な方の顔をめがけてアンカーを撃ち込む。
見事、うまく両目を潰すことができたようだ。
10メートル級の位置に気を配りながら、目標の喉元を深く抉る。
血飛沫が顔にかかったが怯んでいる暇は無い。
うなじを削がなければ息の根を止めることができないため、悶絶しながらうつ伏せに倒れた巨人の首に刃を立てた。
これで、1体。
間髪入れずに、10メートル級がサクラに向かって手を伸ばしてくる。
すんでのところで躱し、アキレス腱に斬りかかった。
これほどの大きさを相手に頭上が奪えないならば、足元から切り崩していくしかない。
今、サクラは自分がどう行動すべきか、頭で考えなくても分かっていた。
脳からの指令を待たずして、四肢の筋肉が動く。
きっとリヴァイは戦う時、このような境地にいるのかもしれない。
足首から下を切り落とされ、体重を支えることができずに倒れていく巨人。
すかさず弱点に斬りかかり、うなじを深く抉りとった。
「ハァッ・・・ハァッ・・・」
もう3体は・・・?
先ほど兵士を食べていた巨人は、索敵班の班長が倒している。
あと、残り2体。
サクラは、戦意を失って震えている兵士のもとへと駆け寄った。
「立ち上がって!」
「サクラさん・・・」
赤毛の女兵士は、入団からまだ一年だ。
恐怖が支配しても仕方が無い。
「ダメです・・・怖くて戦えません・・・」
「でも、ここで戦わなければ確実に死んでしまう」
刃が欠けたブレードを捨て、新たなものを装着する。
「もし、生きて帰還したいなら、その僅かな可能性に賭けて戦おう」
「あ・・・」
「貴方が援護してくれたら、私は必ず巨人を殺す」
サクラは微笑んだ。
「私に力を貸して。一緒に帰ろう」
貴方の力が必要だ。
そう言われても、経験の無い若い兵士にとっては荷が重いだろう。
しかし、赤毛の女兵士はサクラの笑顔の向こうに、人類最強の男の影を見た。
モスグリーンのマントを翻し、鷲のごとく空を飛び回る兵士長。
彼の面影は、戦意を失いかけた若い兵士を奮い立たせる。