【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「分隊長! 大丈夫ですか?」
「あ・・・ああ、大丈夫だ。思ったより太っちょだったから、目測を誤ってしまった」
そう言って笑うハンジだったが、ゴーグルの片方のレンズが割れている。
また、右腕も力無くダラリと垂れ下がっているところを見るに、肩を脱臼しているようだった。
「本隊に戻りましょう」
そこに医療班もいるだろうから、手当てを受けることができるだろう。
丁度、そう遠くなさそうな所に、進行方向を告げる信煙弾が上がっているのが見える。
しかし、予想した方角へは進んでいないようだった。
「あの様子じゃ、エルヴィン達も相当手こずっているようだね」
馬に乗るのをモブリットに手伝ってもらいながら、ハンジは悔しそうに呟いた。
モブリット、サクラも馬に跨り、顔を曇らせる。
「先を急ごう」
時間がない。
戦力は少しでも多いほうがいい。
隊列へ戻る、途中。
左翼側を担当していた索敵班と合流した。
「ハンジ分隊長! ご無事だったんですね!」
「ああ、君たちも無事で良かった」
すでに陣形は機能しておらず、被害も予想よりも大きいらしい。
一刻も早く、隊列に戻らなければ。
そう思った矢先。
ドシン、ドシン・・・
地面が割れそうなほどの足音に、その場にいた兵士達に緊張が走る。
距離は・・・500メートル程か。
しかも、複数体であることは間違いない。
「クソ、こんな時に!!」
ハンジは傷を負っているし、被害の状況をエルヴィンに伝えなければならない。
「巨人は何体だ!」
モブリットが叫ぶと、索敵班の一人が青ざめながら答える。
「目視できる限り、5体です!! 三方向からやってきます!」
「5体・・・」
今、ここにいるのはハンジ、モブリット、サクラ、そして索敵班の3名。
全てを相手にするのは不可能だ、逃げ切るしかない。
しかし、三方向から来る敵をかわしきれるのか?
ハンジは利き腕の肩を脱臼しているのに?
このまま走って逃げ切ることができるか?
しかし・・・この数の巨人を引き連れたまま、隊列に戻るわけにはいかないだろう。
誰かが囮になって、遠ざけなければならない。
誰かが・・・