【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
この付近に巨大樹の森はない。
しかし、前方に民家が見える。
あそこなら立体機動に移って戦えそうだ。
巨人との距離は、約20メートル。
もうここでやるしかない。
「私が奇行種を相手にする! サクラは6メートル級を!」
「了解!!」
シェリー、少しだけ離れるね。
どこか安全な場所で待っていて。
立体機動を作動させ、馬から飛び降りる。
離れたところからサクラに飛びかかろうとした6メートル級を交わし、アンカーを民家の屋根に撃ち込んだ。
回復する暇を与えずに削いでやる!
リールを巻き取り、その反動で地面スレスレを飛びながら巨人のアキレス腱に刃を立てる。
すかさず巨人の後頭部にアンカーを撃ち、首筋めがけて斬りかかった。
グニャリとした感覚から、骨の硬さをブレード越しに感じる。
傷は十分に深い・・・仕留めた!
直後、ものすごい蒸気が顔にかかる。
巨人が息絶えていく証拠だ。
「分隊長!」
ハンジは大丈夫だろうか。
モブリットは?
倒れた巨人越しに辺りを見渡すと、大きく弧を描いて宙に飛ばされているハンジが見えた。
「ハンジさん!!」
見れば、奇行種の首筋には太刀傷がある。
しかし、分厚い脂肪の塊のせいで致命傷にまでは至らなかったようだ。
掴みかかってきた巨人の手を逃れた際に、立体機動の操作が上手くいかなったらしい。
分隊長が地面に叩きつけられているのを見たサクラは、奇行種の眉間にアンカーを撃ち込んだ。
「サクラ!!」
ハンジには指一本触れさせない!
醜い二つの目がサクラを捉える。
恐怖よりも先に感じたのは、こいつを倒さないとハンジが危ないということ。
喰らいつこうと口を開けた巨人の、鼻から右目にかけて深く刃を刺す。
同時に、8メートル級を倒したモブリットが背後から斬りかかり、ハンジのつけた傷跡を抉るようにうなじを削いだ。
「はぁっ・・・! はぁっ・・・!」
凄まじい蒸気・・・
間違いない、倒した。
ふと見ると、ブレードの刃がボロボロになっている。
二枚ともその場に捨て、民家の塀のそばで倒れているハンジの元へ駆け寄った。