【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
あと数分で出立という時。
兵士達は馬に跨り、開門を待っていた。
壁上固定砲が火を噴き、付近から巨人を遠ざける音が響く。
奮えたつ兵士の息遣い。
いつもと同じ、出発前の光景だ。
突然、近くの群衆の中から一人の少年が飛び出してきた。
「リヴァイ兵長!」
年は9歳くらいか。
目を輝かせながらリヴァイの足元に駆け寄る。
どことなく、昔のエレンに似ているような気がした。
「巨人をいっぱいやっつけてきてください!」
「・・・・・・・・・・・」
無邪気な瞳で見つめられ、どうしていいのか分からなかったのだろう。
リヴァイは無言でその子の頭をポンポンと撫でると、そのまま自分の馬の所へ行ってしまった。
「リヴァイ兵長・・・」
つれない態度をとられ、残念そうな顔を見せる子供。
その背中には、紙に描いたいびつな双翼の絵が貼り付けられている。
そして両腰には細長い棒が一本ずつ差さっていた。
「君、調査兵になりたいの?」
サクラが声をかけると、少年は再び目を輝かせながら振り返る。
「うん! 調査兵になって、リヴァイ兵長みたいにたくさん巨人をやっつけるんだ!」
「そう」
屈託のない、その笑顔に嬉しくなる。
そして、さっきまで補給物資の運搬など・・・と思っていた自分が恥ずかしくなった。
この子が調査兵になった時、それを頼りにしてより遠くへ遠征できるように、今から物資を用意しておくんだ。
これも調査兵の務め。
未来を、守る。
「お姉ちゃんもがんばってね!」
「ありがとう」
両足を開き、胸を張る。
左手は背中に、そして右拳を心臓の前へ。
自由の翼を背負った外套をはためかせながら、勇敢な少年に敬意を表した。
「うわあ!!」
初めて見る本物の敬礼に、少年は打ち震えた。
サクラだけではない。
リヴァイをはじめ、整列している調査兵全員が精悍な顔つきで馬に跨っている。
「か・・・ぁっこいい!!」
強く憧れ、目指す者達の姿がそこにあった。