【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「数週間前に絵を注文したのですが、どの程度進んだのか見に来たんです」
すると、その女性は軒先に吊るしていた洗濯物を取り込みながら、サクラとリヴァイが絵を描いてもらったアトリエがある二階を指差した。
「あいつなら絵の具を買いに行くといって、今さっき出ていったところさ」
「そうですか・・・」
ちょっとタイミングが悪かったか。
留守ならば仕方がない。
「中に入って待っていたらどうだい? そう遅くはならないはずだよ」
「いえ、ちょっと寄ってみただけですので。また今度、訪ねてみたいと思います」
「そうかい? なら、名前を教えてくれりゃ、あんたが来たことだけでも伝えておくよ」
「ありがとうございます。しかし、きっとお忙しいでしょうから大丈夫です」
急かすつもりはまったくない。
もし自分が来たということを知ったら、催促かと勘違いして焦ってしまうかもしれない。
それにやっぱり絵は完成してから見た方がいい。
その方が楽しみも倍増するし、感動も大きいだろう。
“ リヴァイ兵長と私の全てを表すような絵をお願いします ”
画家はどのように描いてくれているのだろう。
出来上がったらどこに飾ろうか。
「ふふ、リヴァイ兵長は嫌がるかもしれないな」
なんか落ちつかねぇから飾るな、きっとそう言って眉を潜めるだろう。
それでもいい。
どこか棚の奥にしまわれたままになってしまったとしても・・・
「あのアトリエで、リヴァイ兵長が私を包んでくれていた時間は、ちゃんと形になって残っているものね」
そう言うと、シェリーも“そうだね”と答えるように鳴く。
結局、サクラが訪れていたことを画家が知ることは無かった。