【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
調査兵団の兵舎は、トロスト区の内側にある門のそばにある。
そこへと続く市街地に入ったところで、サクラはあることを思い出した。
「シェリー、少し寄り道をしていこうか」
まだ正午だ。
昼前には帰ると言ってあるが、急ぐ必要もないだろう。
中心街の目抜き通りをそのまま真っ直ぐ進む。
この先には、サクラとリヴァイの肖像画を頼んだ絵描きのアトリエがあった。
「どれくらい出来上がっているのかな」
肖像画はまだ完成したという知らせを受けていない。
本当は出来上がるまで楽しみをとっておこうと思ったが、明日は壁外調査だし、そのあとも新兵が入団してくるから忙しくなる。
もしかしたら、絵が完成してもしばらくは受け取りにくることができないかもしれない。
だったら、途中でもいいから見ておきたいと思った。
画家のアトリエは、目抜き通りから一本路地に入ったら借家にある。
シェリーを家の前に繋ぎ、錆びた錠のついた木戸を叩いた。
「ごめんください」
しかし、いくら叩いても中から返事はない。
「すいません、お留守ですか?」
アトリエがある二階の部屋の窓は開いているから、人がいないわけではないだろう。
もしかしたら、別のモデルの絵を描いているのかもしれない。
「日をあらためるしかなさそうか・・・」
仕方なく踵を返すと、ちょうど向かいの家のドアが開いた。
中から出てきたのは大きなエプロンを巻いた、恰幅の良い女性。
「あんた、そこの貧乏画家に用かい?」
三角巾からは白髪の混じった金髪がはみ出ている。
どうやら、アトリエの大家のようだった。