【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
考えてみれば、エレンももう15歳。
体も大きく変化するだろうし、多感な年頃だろう。
「もう、私が知ってるエレンではないんだよね」
「・・・・・・・・・・・・」
「体もこんなに大きくなったし、声も太くなった」
「そうかな。身長はミカサと変わらねぇから、あんま自覚ないけど」
「でも、こうして並ぶと“大きくなったなぁ”って思うよ」
いや、普段は小柄な兵長とばかり一緒にいるからか・・・? と、思わず吹き出してしまう。
「エレンはこの先、誰かと出会うのか・・・それとも、“もう”出会っているのか。その人を好きになって、結ばれるんだろうな」
「わかんねぇよ、そんなの」
エレンは不貞腐れたように顔をしかめた。
まるでその中にサクラが含まれていないような言い方に少し苛立つ。
少なくとも、訓練兵団の同期の中で気になる女子はいないし、調査兵団に入ったらそれどころじゃないだろう。
でも・・・
「エレンはとても意志の強い子だから、誰かを好きになったらその人を必ず幸せにできると思う」
サクラの笑顔を見て、心臓の鼓動が速まるのを感じる。
これが恋心かと聞かれても分からない・・・
「オレは・・・」
けど、サクラには幸せになってもらいたい。
それに、傷つけたくない。
笑顔でいてくれないと嫌だ。
悲しそうな顔されると苦しくなるし、泣きたくなる。
これって、どういう感情なんだろうか。
「エレン・・・?」
沈黙が流れる。
地面に置いていたサクラの右手に、少し汗ばんだ手が重なった。
ライナーとベルトルトに教えてもらった、秘密の場所。
大好きなサクラと一緒に来られて嬉しい。
だけど・・・苦しい。
胸がドキドキして、頭がボーッとする。
「・・・わかんねぇ」
“ エレンにはミカサがいることは知ってる。でも、貴方の事が好きなの ”
昨日、ずっと一緒に訓練を頑張ってきた仲間からそう言われた。
“ お願い、キスをしてエレン。貴方を好きになった思い出にしたい ”
キス・・・
好きだから、キスをしたいと思うのか?
ただ唇を重ねるだけじゃねぇか。
「・・・・・・・・・・・・」
それは完全に頭で考えてしたことではなかった。
エレンは隣に座っているサクラに顔を寄せると、その唇にそっと口付けた。