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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第20章 Until We Meet Again... ※




「エレン、もしかして悩み事でもあるの?」

昔、悩んでいた時に仲間に連れてきてもらった場所。
ここに来たということは、その頃と同じ気持ちだからでは。

「私でよければ、相談にのるよ」
「・・・・・・・・・・・・」

エレンは何かを言いかけたが、そのまま黙って崖の淵に腰掛けた。
サクラもその隣に座る。


「うわ、高いね」

ぶらぶらと投げ出した両足の下には、夜の静かな湖と森。
立体機動装置なしで落ちたら、まず助からないだろう。

「昨日・・・」

エレンがポツリと口を開く。

「初めて、人のことを想像しながらした」

「・・・?」

重要な部分が欠落した言葉にその意図が分からず、サクラは首を捻った。
きっとエレンの中で葛藤があるのだろう。
無理に聞き出そうとはせず、次の言葉を待つ。


「女はどうかしらねぇけど、男はみんなヤるだろ。自分で・・・」

「あ・・・ああ、自慰?」

なるべく直接的な表現を避けようとしていたのにサラッと言われ、エレンは大きな瞳を丸くした。
そのおかげで力が抜け、笑顔が戻る。

「驚かねぇの? なんか、こっちが恥ずかしくなる」

「何言ってるの、男の子はみんなしてるんでしょ」

本当はエレンが性に目覚めていたという事に、かなり驚いていた。
それを出さなかったのは、その方が話しやすくなるだろうと思ったからだ。

「ああ。普段はただこう・・・擦って、出して、拭いて、終わりなんだ」

これまでは形式的な行為で、別に恥ずかしいことだとは思っていなかった。
しかし、昨日を境にそれは後ろめたい行為となった。

だんだんと躊躇いがちな口調に変わっていく。


「でも昨日は違った。擦ってる最中にある人が頭ん中に浮かんで・・・ダメだと思ってるのに、その人の裸を想像しちゃったんだ」

「・・・・・・・・・・・・」

「軽蔑されても仕方ない。自分でも許せねぇし、気持ち悪いと思ってるぐらいだからさ・・・」


エレンはサクラから目を逸らし、森と夜空の境目を見つめた。
鼻の奥がツンと熱くなって、今にも涙が出そうになる。



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