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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第20章 Until We Meet Again... ※





街から外れているせいか。
訓練兵団の兵舎から見上げる星空は、より澄んでいるように思える。

開拓地から来た自分達には天国のように思えたが、ウォール・ローゼ出身の兵士達の中にはこの寂しい場所にホームシックとなる者も少なくはなかった。


「・・・・・・・・・」

サクラの少し前を歩くエレン。
話があると言っていた割にはほとんど喋らず、どこかへ向かっているようだ。

中庭を抜け、馬小屋を通り過ぎる。
そして、立体機動の訓練場を抜け、森に入った。


「エレン、どこへ行くの?」
「もう少し先だ。道が悪くなってるから気をつけろよ」

ランプを高く掲げると、木々の向こうに高さ3メートルほどの崖。
ゴツゴツした岩肌だから登れないことは無さそうだが、エレンはどこへ行くつもりなのだろう。

「この上だよ」

先に軽々と登ったエレンが、上から手を伸ばしてくる。
右手を引っ張ってもらいながらサクラも登ると、目の前に広がる景色に言葉を失った。


切り立った崖の下には、澄んだ湖。
それを取り囲むように森が広がっている。
湖面には白い月が反射し、柔らかい光を放っていた。


「すごい・・・こんな所があったなんて・・・」

あの湖も、森も、訓練兵時代によく通った場所。
しかし、全てを見下ろせる所があるとは知らなかった。

「実は、オレもさっき思い出したんだよ」

サクラの隣でエレンが懐かしそうに目を細める。

「訓練兵団に入ったばかりの頃、立体機動の適正試験で上手くバランスをとることができなくさ・・・」

湖畔から吹き上げる夜風になびく、柔らかい茶髪。

「相談に乗ってくれたライナーとベルトルトに連れてきてもらったんだ」

あの時、兵士になる夢を諦めたくなくて必死だった。
エレンは、サクラの外套に縫い付けられた“自由の翼”に目をやる。

「ベルトルトは最初から憲兵団を目指してると言っていたし、ライナーも成績上位10人には必ず入るだろうから・・・」

きっと、2カ月後には袂を分かつことになる。
仲間との大事な思い出が詰まった場所に、サクラを連れて来たかった。




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