【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
太陽が傾き始める頃、サクラは調理場にいた。
大量の芋を前にして長椅子に座り、ひたすらその皮を剥いていく。
「サクラ」
5個目の芋を剥き終えたところで、名前を呼ぶ声がして顔を上げる。
すると、訓練を終えたばかりのミカサが立っていた。
「何してるの?」
「暇だから、夕食作りを手伝っているの。こんなに芋の皮剥きをしたのは久しぶり」
カゴ一杯のまだ土が付いたままの芋を指差して笑う。
ミカサはそんなサクラを見て心配そうに眉をひそめた。
「体調は平気?」
「寝てなきゃいけないってわけじゃないから大丈夫。むしろ体を動かしてないと鈍ってしまう」
その言葉に安心したのだろう。
ミカサも笑みを浮かべると、サクラの隣に腰を下ろした。
「私も手伝おう」
「ありがとう、ミカサ」
一見、家庭的では無さそうなミカサだが、実は料理が上手い。
ナイフを手に取りカゴの中の芋を一つ掴むと、器用にクルクルと回しながら皮を剥いていく。
「ミカサは良いお嫁さんになるね」
自分よりも無駄なく、綺麗に仕上げていく姿を見てそう言うと、ミカサは目を丸くした。
「何で?」
「家事は一通りできるし、面倒見が良いもの」
「そうかな? 自分では分からない」
「そうだよ。エレンは幸せ者だと思うな」
「・・・・・・・・・」
エレンの名前が出た瞬間、頰をポッと染める。
エレンとミカサは常に一緒にいたが、子供の頃はこんな反応を見せなかった。
しかし、訓練兵団に入団した頃から、ミカサはエレンのふとした行動に一喜一憂するようになった。
手を握られて顔が赤くなっているミカサを見て、その胸に小さな恋心が宿っていることに気がついたのを鮮明に覚えている。
そして、その時からサクラは二人が恋人同士となる日が来ることを望んでいた。
「エレンは・・・家族だから」
「でも、血が繋がっているわけじゃないでしょ」
ミカサは首を横に振り、少し寂しそうに俯く。