【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「私、実は調査兵団に入りたいんです」
「調査兵団に?」
「はい・・・調査兵団には恩人がいて、その方々のお側で働くというのが夢なんです」
止血したからか、先程まで青ざめていた頬と唇に赤みが増す。
そして、調査兵であるサクラを尊敬の混じった瞳で見つめた。
「私は昔、人には言えない仕事を生業としていました。暗くて、惨めで、死にたいとすら思っていました」
当時の記憶が相当つらいものなのだろう。
訓練兵は唇を噛み、声を震わせた。
「毎日起きると最初に考えることは“どうやって死のう”でした。そんな日々の中で出会ったんです」
「・・・・・・・・・」
「一人は、私を殺してくれると言ってくれました。とても悲しい目をした人だったけれど、私の事を理解してもらえるような気がした・・・この方の手で苦しみを終わらせてもらえるなら、この世に生まれて初めて幸せだと思えるような気がしました」
この首を絞め、苦しみから解放しようとしてくれた、あの力強い手の感触が蘇る。
呼吸ができない苦痛を思い出したのか。
訓練兵の目には涙が滲んでいた。
「そして、その方に死の淵まで連れて行っていただいた時、もう一人の恩人に出会いました」
“ 君が死にたいと思うのは勝手だ。だがな、私達はそんな君の未来も守るため、毎日命をかけている ”
「ただ甘えるだけで、何も努力していなかった私を叱ってくださいました」
“ 死ぬ方法はいくらでもある。たとえば、調査兵団に入るとかな ”
「・・・嬉しかった。その方々は、私に胸を張って生きられる場所を与えてくれたんです」
訓練兵は、細い首筋に手を当てて微笑んだ。