• テキストサイズ

【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第20章 Until We Meet Again... ※




「エレンのあだ名、たしか“死に急ぎ野郎”だっけ」
「・・・別に死に急いでなんかねぇよ」
「2カ月後、訓練兵団を卒業したら必ず調査兵団を選ぶでしょ。残念だけど、私たちは毎回の壁外調査で犠牲者を出している」
「それは知ってるよ!」
サクラから調査兵団に入ることを反対されるのかと思い、身構える。
しかし、違った。

「エレンの事が好きな子達はそれを知っているから、卒業前に自分の気持ちを打ち明けたんじゃないかな」


忘れもしない、第48回壁外調査。
そこで、一人の後輩が自分の身代わりとなって死んだ。


“ どうかサクラさんも死なないでください。じゃないと・・・”


「もし貴方への想いを告げずに貴方が死んでしまったら・・・彼女達の想いの行き場が無くなってしまうから・・・」


エレンは頰を包んでいるサクラの手を振り払うと、小さく“オレは死なねぇよ・・・”と呟いた。
そして椅子から立ち上がり、サクラの目の前に立つ。

「・・・・・・・・・・・・」

・・・そういえば、いつからサクラを見下ろすようになったんだろう。
ずいぶん前からだと思うが、思い出せない。
こんなに小さかったっけか?

それに・・・
薄暗い部屋で誰かと二人きりになるのは、エレンにとってなんでもない事なのに、何故か居心地が悪い。

なんか・・・胸の辺りが変だ。


「オレ・・・そろそろ行くわ。消灯時間も近いし」
「そうだね。ベッド、ありがとう」
「・・・ああ、また明日」

エレンは自分でも分かるほどぎこちない笑顔を見せると、ドアの方へ足を向けた。
そして、ノブに手をかけた瞬間。

「エレン。私はエレンの事が大好きだよ」

「・・・な、なんだよ、いきなり」

「ミカサも、アルミンも、大好き。貴方達がいる世界だから、守りたいと思う」


伝えたいことは、伝えられるうちに。

にっこりと微笑むサクラに、エレンはどうしていいか分からなかった。
なんだか苦しい。


「おやすみ、エレン」


初めての感覚に戸惑いながらも、なんとか“おやすみ”と返す。
そしてドアを開け、逃げるようにして部屋をあとにした。


/ 781ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp