【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
午後8時。
この時間になると訓練兵達は自由時間となるため、本を読む者、友人と談笑する者など様々だ。
アルミン達と別れ、サクラが来客用の寝室に向かうと、丁度エレンが布団とシーツの間に毛布を差し込んでいるところだった。
「ありがとう、エレン」
「ああ、こうしとけば寒くないだろ。明け方は冷えるからな」
ベッドを用意してくれるエレンの後ろ姿を見て、本当に成長したなぁと思う。
身長が伸びたせいか、大人びた雰囲気になった。
昔は目が大きくて可愛らしい顔をしていたが、今は精悍になっている。
成績も優秀だし、訓練兵といえど実力は自分よりも遥かに上だろう。
それにもう、恋愛をしてもおかしくない年頃・・・か。
そう思った瞬間、井戸端で女の子とキスをしていたことを思い出した。
「ねぇ・・・エレン」
「ん?」
ポンポンと枕の形を直してから、こちらを振り向く。
何も疑っていないのか、大きな瞳は昔のように無邪気な色をしていた。
「さっきの子、もしかして恋人?」
「は?」
エレンは、“突然何を言いだすのか”とばかりに目を丸くする。
「井戸の所でキスをしてた女の子だよ。ごめんね、見ちゃったんだ」
「ああ、そのことか」
暗くてよく見えなかったが、女の子の方は真剣そうだった。
だからサクラの姿を見た時、恥ずかしそうに逃げてしまったのだろう。
「アイツはただの同期だよ」
「ただの同期? でもキスしてたけど」
「なんか最近、そういうヤツ多いんだよな」
エレンは迷惑そうに顔を歪めながら、窓際に置いてある椅子に座った。
「さっきのヤツもそうだけど・・・オレの事が好きだってよく言われる。ありがたいとは思うけど、正直そういうのに興味ない」
自分たちは、巨人と戦う兵士になるため日々訓練している。
恋愛なんぞに現を抜かしている暇はないはずだ。
それなのに、“好きだ”とか、“付き合って欲しい”と言われても迷惑なだけ。
104期生の間で公認となっている、ハンナとフランツのことも理解できない。
実際、エレンの頭には巨人を駆逐することしか頭になかった。