【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「気を悪くさせたら、ごめん。でも・・・もしかしたら“休暇”ではなく“休養”をとっているんじゃないかって思って・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
やっぱりこの子にはかなわない、とサクラは諦めたように微笑んだ。
誰よりも物事の本質を見極めることに長け、気を使いながらもはっきりとそれを口にする。
そんなアルミンを前にして、 誤魔化しきれる自信なんて無かった。
「実は訓練中に倒れて・・・過労だと言われたの」
「過労?」
「一時的なものだから安静にしていれば大丈夫。だから、壁外調査までの3日間を休暇にしてもらったの」
アルミンとミカサは訝しげにサクラを見ていた。
本当にそうなのだろうか。
ただ、自分たちを心配させないようにそう言っているだけなのでは。
もし、ここにエレンが居たら“本当かよ、嘘ついてねぇか?”と単刀直入に聞いてくれただろう。
しかし、残念ながら二人は彼ほど率直では無かった。
「そっか・・・じゃあ、ゆっくり休んでね。僕らにできることがあったら、なんでも言って」
アルミンがそう言うと、ミカサも口を開く。
「無理しないで、サクラ。貴方に何かあったらエレンが悲しむし・・・私も嫌だ」
「・・・・・・・・・・・・」
エレン、アルミン、ミカサを見ていると、5年前に失った弟を思い出す。
一緒に逃げ切ることができず、巨人の餌食にさせてしまった。
もしも、弟が今も生きていたら、自分は調査兵になっていなかったと思う。
死んだお父さん、お母さんの代わりに、弟が成人するまでは責任持って育てただろう。
そしてきっと・・・リヴァイと出会うことは無かっただろう・・・
運命とは不思議なものだ。
悲しみが無ければ生まれない幸せもある。
でも、どうか・・・
この子達にはこれ以上の悲しみは無く、幸せになってもらいたい。
ミカサも、アルミンも、そしてエレンも、充分すぎるほど泣いてきたのだから。
「二人ともありがとう」
フワフワの金髪と、サラサラの黒髪を撫でると、少しくすぐったそうに二人の顔に笑みが戻った。